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ニュースレター   

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CanAppleニュース 第287号(2024.06.21)
共同研究者への感謝
私は、この寄稿で紹介します金属ポルフィリン錯体を扱った研究を行う以前は、特異な電子状態に基づく機能・物性を発現する機能性配位高分子錯体の開発を行っておりました。当時、研究を行っていたカルボシキシラト架橋混合原子価三核金属(II,III,III)錯体どうしを繋ぐ架橋配位子として・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第286号(2024.06.07)
正念場を迎えるクリーン水素製造のための光触媒技術
私が光触媒作用を利用した水分解反応の研究を開始したのは、東京理科大学の工藤 昭彦先生の研究室へ配属された 2003 年のことであり、当時は合成したセラミックス 粉末を水に縣濁させて光を照射するだけで水が水素と酸素に・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第285号(2024.05.10)
プロトンを自由自在に操る
プロトンを自由自在に操る.これは私の研究者としての生涯目標であり,人工光合成反応に出会ったきっかけでもある.本稿では私がプロトンに興味を持った経緯とこれまでの研究を振り返り,最後に今後の展望を述べたい.学部1回生の頃に量子力学の教科・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第284号(2024.04.26)
Towards Solar Fuel Devices: Challenges and Scopes
For the sustainable development of human society, the supply of secure and clean energy is arguably the most important scientific and technical challenge in the 21st century. Ever since, the French scientist・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第283号(2024.04.12)
光−熱化学ハイブリッド水分解プロセス
富山大学の萩原と申します。この度は寄稿の機会をいただき、誠にありがとうございます。前回 CanApple ニュースに寄稿したのは 2 年ほど前(第 225 号)になりますが、その時は水分解用のポルフィリン修飾光触媒の研究を紹介しました。今回は、私が近年・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第282号(2024.03.29)
真空封管法を利用した酸窒化物光触媒の合成
筆者は2004年4月に東京大学堂免研究室に卒研生として配属された。ちょうど、堂免教授が東京工業大学から異動した直後のことである。本稿の読者はよくご存じであろうが、堂免教授は2000年ごろから、世界に先駆けて酸窒化物等の可視光応答性水分解光触媒・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第281号(2024.03.15)
SrTiO3ナノ粒子を用いた液相有機合成反応
光触媒として広く研究されているSrTiO3であるが、熱触媒としての利用例も知られている。熱触媒の性能は材料の比表面積に依存することが多いが、一般的な合成法で得られるSrTiO3の比表面積は小さいことが多い。著者はこれまでに、高比表面積な・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第280号(2024.03.01)
光電気化学反応の熱力学
酸素生成用光アノードに関する研究では、しばしば酸素生成の光電流と犠牲試薬の分解反応の光電流とを比較して議論することがあります。しかし、反応電子数も平衡電位も異なる反応を比較しても、光電気化学反応に関与する速度論的な側面と熱力学的側面・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第279号(2024.02.16)
太陽電池の界面制御技術
新潟大学の後藤和泰と申します。専門は電気電子材料工学で、結晶シリコン系の太陽電池の材料や材料間の界面制御に関する研究を行ってきました。半導体デバイスは、半導体、誘電体、金属といった様々な材料の積層構造です。そのため、電子機器・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第278号(2024.02.02)
白金の同族元素としてのニッケル錯体の光励起状態
三重項由来のマイクロ秒の励起状態を有する、RuII, IrIII, PtIIなどの錯体は盛んに研究されてきた。これらの貴金属を用いた錯体に迫る光機能を持つ化合物を安価な第一周期の遷移金属錯体で創出する研究が注目されている。特に、・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第277号(2024.01.19)
融かして塗る光触媒担体
これまで一貫して、分子触媒を担体に固定し、固定間隔や密度に応じた反応特性を見出す研究を進めてきました。具体的には、生体分子(タンパク質)、金属錯体(配位高分子)、無機メソ結晶といった多孔性材料に錯体触媒や光増感剤を・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第276号(2024.01.05)
局在した光と分子
北海道大学の岩佐と申します。京都大学の中田さんが代表の科研費学術変革領域B「光触媒協奏学〜分子触媒・反応場・反応解析法の革新と協奏:CO2光多電子還元の学理構築〜」にC班分担として加わっていますが、他のメンバーも・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第275号(2023.12.22)
放射光分析の進展
粉末X線回折,単結晶構造解析,X線吸収分光法など放射光は一分析手法として確立,定着している.現在では光源や光学系の進展に伴ってイメージングの高空間分解能化や高時間分解能化などさらなる発展を遂げている.他にも・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第274号(2023.12.08)
金属イオンと配位子の協奏作用
大阪公立大学人工光合成研究センターで特任講師を務めております中薗孝志と申します。私はこれまで水からの酸素発生触媒反応を主な研究課題として、金属錯体の触媒活性評価、反応機構解析に関する研究に注力して参りました。今回は・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第273号(2023.11.24)
太陽光利用にはアンテナが鍵?
これまで私は大阪市立大学の藤井律子准教授の元で、海藻由来の光合成アンテナの研究に従事し、特にカロテノイドの機能に興味を持って研究を進めてきた。ここではそれを通して気づいたアンテナの重要性について書こうと思う。・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第272号(2023.11.10)
次世代放射光施設の建設  -ナノテラスによる新展開-
この度は寄稿の機会を与えてくださり、誠にありがとうございます。実は、2年前の183号でも寄稿させていただいたのですが、また機会を賜れるとのことで編集委員の先生のお気遣いに心より感謝申し上げます。・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第271号(2023.10.27)
均一系光触媒とともに
これまでの研究生活は、均一系光触媒とともにある。学生時代は、東京工業大学の穐田宗隆先生・稲垣昭子先生のご指導の下、可視光増感性パラジウム触媒を用いる有機分子変換反応の開発研究に携わらせて頂いた。様々な試行錯誤の末に・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第270号(2023.10.13)
水電解と物理計算
東京大学化学システム工学専攻の小畑です。この度は寄稿の機会をいただき、誠にありがとうございます。近年、グリーン水素製造に注目が集まり、材料・デバイス開発や、その解析が進んでおります。本稿では、その現象理解に必要な物理計算に・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第269号(2023.09.29)
Tafel slopeと中間体の物理化学
クリーンエネルギー社会の実現のために電極触媒を用いた電気分解反応が着目されている。そのため、その反応効率向上に向けた精力的な電極触媒開発が行われている。これまでの電極触媒開発では、「いかに過電圧を低くするか」に焦点を当て・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第268号(2023.09.15)
多核クラスター錯体と分子磁性と水電解
筆者が学部生のときに錯体化学研究室(伊藤翼先生)の門を叩いたのは1998年、ちょうど二次元CCD検出器を装備したX線散乱装置が普及し始めた頃である。大塩寛紀先生の指導のもと、幸運にも当時導入されたばかりの装置・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第267号(2023.09.01)
水素社会に思いを馳せる
堺化学工業株式会社の小澤です。現在はカーボンニュートラルに関わる触媒の開発を行っています。私のものづくりへの情熱は大きく2つの要因に由来します。1つ目は小学生のころにテレビで見たソニーの創業者の一人である井深大さんの・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第266号(2023.08.18)
光子の高エネルギー化
産業技術総合研究所の西村直之と申します。この度は貴重な機会を賜り、ありがとうございます。私は2013年に東京大学堂免研究室にて学位を取得しました。その後、9年間旭化成株式会社で研究活動を行い、昨年度22年度)現所属に転職しました。・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第265号(2023.08.04)
界面で創る分子触媒
筆者は,精密有機合成の観点から,界面特有の(非)平衡状態や固体材料の特性を活かした触媒機能や反応システムの開発に取り組んでいる。こうしたアプローチは,半導体微粒子や二分子膜が利用される人工光合成研究にも資すると・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第264号(2023.07.21)
半導体デバイス開発と光触媒開発
光触媒は「触媒」という名を持ちながら、太陽電池や発光ダイオードなどの半導体デバイスと陸続きの技術であると言えます。窒化ガリウムやチタン酸ストロンチウムなど、半導体デバイス材料、固体物理研究のモデル材料が水分解光触媒において・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第263号(2023.07.07)
合成高分子と光反応
九州大学にて助教を務めている長尾です。私は現在、合成高分子を用いたCO2の光還元反応の研究をはじめたところです。私の研究の大きな主軸は、『合成高分子の構造を精密に設計することによって、タンパク質のような生体高分子の・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第262号(2023.06.23)
究極の超分子を目指して
大阪大学の重光と申します。このような貴重な機会を頂き、誠にありがとうございます。私は学生時代より分子集合体の研究に取り組み、2017年に大阪大学に着任して以降は超分子化学を基盤とした人工光合成に挑戦しております。学生時代は・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第261号(2023.06.09)
スケールアップの観点から光触媒の評価軸を考える
三菱ケミカルの坂本と申します.この度はニュースレターへの寄稿の機会をいただきありがとうございます. 私は,十数年前に堂免先生の下で学生として水分解光触媒,特に助触媒担持方法の開発に携わった後・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第260号(2023.05.26)
光触媒協奏学
京都大学の中田と申します。2023年4月に発足した科研費学術変革領域B「光触媒協奏学~分子触媒・反応場・反応解析法の革新と協奏:CO2光多電子還元の学理構築~」の領域代表を務めております。CanAppleニュースレターの紙面を・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第259号(2023.05.12)
夢を二度見る
二酸化炭素を還元し炭化水素を生成する触媒や窒素還元反応の触媒の開発は私の学生の頃からの夢だ。その夢の始まりは些細なことであったと思う。学生時代の恩師は高効率な水の酸化触媒を報告していた。せっかく研究をやるのだから・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第258号(2023.04.28)
人生の岐路
2022年4月に名古屋大学大学院エネルギー理工学専攻に着任した高島舞と申します.この場を借りて,これまでの研究経歴(岐路)を紹介させて頂きます.2007年3月末,学部4年生での研究室配属を前に,事務室前の掲示板前で・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第257号(2023.04.14)
異分野を渡り歩く中で
東京都立大学の別府孝介と申します.この度は,ニュースレターに寄稿する機会を頂きありがとうございます.今まで「光」に携わることがほとんど無かったので,誰だ?と思われている方もおられるかと思います.ご挨拶を兼ねて・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第256号(2023.03.31)
光触媒をXAFSで観る
半導体光触媒の上に担持された助触媒という系を考える上では、一般的に半導体で発生した電子や正孔が助触媒へとやって来ると言われております。しかし電子や正孔の助触媒への移動はどのような速さで行われるのか、助触媒の中でどのような・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第255号(2023.03.17)
人工光合成に心魅かれて
島根大学の矢野なつみと申します。この度のニュースレターへの寄稿の機会を与えて頂きました編集委員の先生方に感謝申し上げます。まず始めに自己紹介として私と人工光合成研究との出会いについて簡単に紹介をさせて頂きたく思います。・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第254号(2023.03.03)
はじめの一歩
高校生の頃、学校で科学者や研究者のお話しを拝聴する機会が何度かありました。当時、専門的な内容は理解が追い付かなかった部分も多くありましたが、印象的だったのは、全ての先生方が本当に楽しそうだったことです。一生徒として参加・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第253号(2023.02.17)
多電子/プロトン移動を経由する小分子変換反応に魅せられて
東京大学にてPDとして従事しております大塚滉喜と申します。拙稿では、私の自己紹介を含めつつ、私の研究活動のあらましについて述べさせて頂きたく存じます。私は北海道大学理学部化学科および総合化学院にて・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第252号(2023.02.03)
奥が深い光触媒
水分解に用いられる光触媒のキャリアダイナミクスについて理論研究を行なっています。堂免一成教授のグループが合成した光触媒を、産総研の物質計測標準研究部門松ア弘幸グループ長と東海林良太博士が過渡吸収分光法で計測した・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第251号(2023.01.20)
自分の研究
2022年4月から京都大学田中(庸)・寺村研究室助教に着任しました,浪花晋平(なにわしんぺい)と申します.本稿では,私が何を考えて研究をしてきたかを,私の研究経歴とともにお話します.本稿が,私と同じことを考えている方達とつながる・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第250号(2023.01.06)
吸着材による資源循環型社会への貢献
資源循環型社会の観点から、CO2以外の有害物質においても、大気中に排出されることは防がなければなりません。吸着材を使えば、排ガスや排水中に含まれる有害物質を取り除くことが可能です。取り除いた物質が利用価値の高い・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第249号(2022.12.23)
太陽光を電気・物質エネルギーへと変換できる光機能性材料の開発
植物が営む光合成を模倣した究極の人工光合成技術が、無尽蔵な太陽光エネルギーと水から製造した水素で社会インフラに、まさに革命をもたらそうとしています。持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、「光触媒」や・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第248号(2022.12.09)
魔の川
産業技術総合研究所でPDをしている渡邊健太と申します。2021年3月に東京理科大学の工藤昭彦先生の下で学位を取得し、同年4月より現職で研究に従事しております。「魔の川、死の谷、ダーヴィンの海」という言葉をお聞きした・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第247号(2022.11.25)
半導体光触媒による可視光水分解とCO2還元
持続可能な社会を実現するための手段として光触媒による人工光合成が注目されている。これは,「光触媒・太陽光・水」を用いて安定な水や二酸化炭素を有用な資源へと変換する夢の科学技術である。本稿では,半導体光触媒による・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第246号(2022.11.11)
光合成という夢のある反応
この度は執筆の機会をいただけましたこと、感謝申し上げます。私は今、光合成の水分解反応の触媒として働くMn・Ca錯体についての理論研究をしておりますが、私が光合成に初めて興味を持ったのは小学生の頃でした。当時地球温暖化・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第245号(2022.10.28)
光触媒研究の再始動とHAPPAロボットの立ち上げ
機械学習を用いた材料開発は近年急激に注目度が増し、最近では研究DXなる言葉も聞く機会が多くなってきました。我々のチームでは2021年に新たな高速探索ロボットを導入しHigh-throughput Automatic Photocatalyst Performance・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第244号(2022.10.14)
気楽ではない帰洛
京都大学の井口翔之と申します。産総研(2年)、東工大(4年3カ月)を経て、京都大学の桂キャンパスに約6年ぶりに戻ってまいりました。まだ多くの先生方にご挨拶できておりません非礼を、この場を借りてお詫び申し上げます・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第243号(2022.09.30)
ブロックを組み立てるように新しい光触媒を作る
京都大学陰山研究室助教の加藤大地です。私の研究は、ユニークな構造を有する新物質を合成することで、特にこれまでは水分解光触媒に使えそうな新物質の探索を行ってきました。本稿では私の酸塩化物光触媒の研究を・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第242号(2022.09.16)
人工光合成研究の拡がり
ここ10年ほどで、人工光合成研究はその認知度を大いに高め、実際に、人工光合成研究にまつわる多数の研究成果が報告されている。直接、人工光合成に関わる素晴らしい研究はたくさんあるが、実際には、その研究から派生した、もしくは・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第241号(2022.09.02)
光触媒のメディエーター
水を電子源とする光触媒反応のメディエーターはほとんどがプロトンです。水の無い環境ではどのようなメディエーターが使えるでしょうか?・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第240号(2022.08.19)
情報科学と電極触媒開発
近年、機械学習などに代表される情報科学を用いた材料開発(マテリアルインフォマティクス)が盛んに行われている。私が専門としている電気化学反応も例外ではないが、学生時代から一貫して実験屋であり、機械学習はおろか第一原理計算も・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第239号(2022.08.05)
半導体光触媒中の軽元素マッピング
透過型および走査透過型電子顕微鏡(TEM/STEM)による観察・分析は、いまや原子レベルのスケールにまで達している。最近では、収束ビーム(FIB)を利用した薄膜試料作製技術と相まって、ナノメートルの分解能で場所毎の化学状態を可視化・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第238号(2022.07.22)
触媒開発に向けた理論開拓
電極触媒の効率化に向けて、Sabatier則は重要な設計指針である。吸着エネルギーと活性の関係を示したヴォルケーノ・プロットや、量子化学計算・機械学習によるin silico触媒開発など、実に多方面で活用されている。一方で、・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第237号(2022.07.08)
有機合成を指向した人工光合成に挑戦
名古屋大学 特別研究室の森彰吾です。2022 年 2 月に同研究室の助教に着任しました。着任直後のタイミングで CanApple の皆様に私のことを知っていただくために、本稿では私のこれまでの研究と現在取り組んでいる「有機合成を指向した・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第236号(2022.06.24)
プロトンと化学
石北研究室に所属している修士2年の菅生優です。この度はこのような機会をいただき、感謝申し上げます。光合成において、水力発電でいう水の役割、ATP合成酵素のタービンを回しているのは、水素イオンH+です。水力発電で水を高いところに・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第235号(2022.06.10)
理論によって放たれる光
光合成では二酸化炭素と水というありふれた物質を介して、光エネルギーから化学エネルギーへの変換が温和な条件下で達成されています。そんな光合成の電子移動機構について、私は理論化学的手法を用いて研究しています。・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第234号(2022.05.27)
プラズマ照射による綿毛状金属酸化物の光触媒応用
プラズマは様々な表面改質に使われていますが,その中でもこの10年ほど研究が盛んに進められてきた反応の1つにヘリウムと金属の相互作用による表面改質があります。ある条件にすると,金属が綿毛化する現象があり・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第233号(2022.05.13)
光触媒の実用化と時代変化
光触媒は光エネルギーを化学エネルギーに変換する役割を果たす機能性材料である。エネルギー源としての利用や化成品原料の合成など様々な応用可能性が考えられる一方で、実用化を目指すうえで重要な光触媒が満たしうる市場のニーズは・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第232号(2022.04.29)
結晶性複合酸化物超微粒子の合成と助触媒利用
卒論添削に追われていた2月の暮れ、本誌の執筆依頼を受けた。これまでこういった依頼にはあまり縁がなく、折角の機会なのでお引き受けし、最近の研究を紹介する。鳥取に来て早くも六年半が過ぎた。大阪大学基礎工学部にて・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第231号(2022.04.15)
人工光捕集タンパク質
ポルフィリンを扱う分野では、古くから集合体に関する研究が数多く報告されてきた。学術的に集合挙動がユニークであること、分光学的に評価しやすい部分が多いことや天然光合成系に含まれる光捕集系のモデルあるいは・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第230号(2022.04.01)
太陽光由来の貯蔵可能燃料
太陽電池は、太陽光をエネルギーに変換できるため、まさにカーボンニュートラルを担うエネルギー源となります。しかし、太陽電池は、太陽光が降り注ぐときにのみ電気を発生する自然任せのエネルギーであり、・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第229号(2022.03.25)
光触媒に目覚めて
産総研の奥中です。この度は、このような寄稿の機会を与えていただき、感謝申し上げます。ここでは、私の自己紹介と最近行っている研究について、簡単にご紹介させていただきたいと思います。・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第228号(2022.03.18)
酸化反応の有効利用
2013年に着任した産業技術総合研究所で、佐山和弘首席研究員と三石雄悟主任研究員にご指導を賜りながら、光電気化学反応を利用した水(H2O)分解反応に関する研究を開始した。無尽蔵な光エネルギーを利用できる人工光合成技術に魅力を・・・リード文つづき
CanAppleニュース 号外(「2022堀場雅夫賞」募集)(2022.03.18)
「2022堀場雅夫賞」の 募集が開始 されました。 2003年に創設された本賞は、将来の科学技術発展を担う研究者・技術者の奨励を目的としています。 対象となる研究者・技術者皆さまの積極的な応募をお願いいたします。 <応募要綱>
CanAppleニュース 第227号(2022.03.11)
光照射下でのXAS分析
触媒反応のメカニズムを理解する上で動作環境下における触媒材料の構造や電子状態を明らかにすることが重要である。様々な分光法の中で、X線吸収分光法(XAS)を用いた触媒分析は、硬X線を用いる場合には、セル設計の自由度が高い・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第226号(2022.03.04)
CanApple 新企画のお知らせ
会員皆様には、日頃、CanApple活動に多大なご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。お陰様で、2017年6月に設立されたCanAppleは本年で6年目を迎えます。これまで、カーボンニュートラル研究に関連した情報を本ニュースレター・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第225号(2022.02.25)
太陽光エネルギーの高効率利用を目指して
この度はこのような寄稿の機会を頂戴し、感謝申し上げます。私は2003年に九州大学石原達己先生の研究室に学部4年生で配属されてから現在に至るまで、無機半導体光触媒による水の光分解について研究してきました。本稿では・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第224号(2022.02.18)
「CO2電解還元によるメタネーション」
現在もいまだ温室効果ガスの排出量は自然界の吸収できる量を超えており、地球温暖化問題は重要な環境問題の1つである。温室効果ガスの一種であるCO2を有効利用できる技術として、CO2を原料にメタン(CH4)を生成する・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第223号(2022.02.11)
「太陽電池と光触媒」
どちらも光を他のエネルギー形態に変換するデバイスですが、太陽電池は物理、光触媒は化学をそれぞれバックグランドにした研究者が多いのではないでしょうか。しかし、物理と化学の境界など人間が勝手に決めたことで、・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第222号(2022.02.04)
「白粉に夢をみる」
2011年の年末,酸化チタンという白粉に自分の人生を委ねた.当時,D3で第二子臨月間近の著者は次年度の自分の居場所を知らない,というか決まっていなかった.光電気化学をベースに走り続けた学生時代から,少しだけ立ち止まって・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第221号(2022.01.28)
「協奏と狂想」
プロトン共役電子移動(PCET)は、最もシンプルかつ最も深く研究されてきた協奏的な反応過程である。酸化還元反応における反応熱が、反応系中のプロトン濃度に依存して増減するという意味では、Nernst式(1889年)、あるいはPourbaix図・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第220号(2022.01.21)
「有機と無機の融合がもたらす新しい光触媒開発」
近年、社会・経済において、シームレス化や技術融合が謳われていますが、化学の世界においても既存の分類にとらわれない材料設計が求められています。有機物と無機物を融合させた有機-無機ハイブリッド材料は、その最たる事例と言えるでしょう。・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第219号(2022.01.14)
「ナノ複合構造と光触媒」
筆者は無機材料と固体触媒の研究者であり、複合構造の機能設計に興味を持って研究をしてきた。還暦まであと3年のみとなる年齢となったが、特にエネルギー蓄積型(ΔG > 0 )の光触媒では全くの新参者である。本稿では、そのような者が・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第218号(2022.01.07)
「BODIPYとの出会い」
BODIPY類(ボロン-ジピロメテン類の略称)は、バイオイメージングからオプトエレクトロニクスに至る広範な分野で用いられている有機色素で、470〜530 nmの可視領域に強い吸収帯をもつ。優れた熱・光安定性に加えて・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第217号(2021.12.31)
「マイクロ波加熱光触媒合成」
マイクロ波加熱合成法は、非常に急速な昇温過程、マイクロ波による物質の振動、誘電特性による選択的な加熱方法に特徴を持つ。急速な昇温過程は、例えばソルボサーマル法において、過飽和イオン濃度の上昇により核生成が促進され・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第216号(2021.12.24)
「CO2還元を促進する半導体光触媒への銀ナノ粒子担持効果」
水を電子源とした二酸化炭素の光還元反応は、植物が行う光合成を模倣した二酸化炭素再資源化システムであり、人工光合成の一つとして最近注目を集めている。この反応においては水の還元と二酸化炭素の還元が競合して起きてしまうため・・・リード文つづき
CanAppleニュース 第215号(2021.12.17)
「光触媒で液体燃料をつくる」
私は2001年から光触媒による物質変換に関する研究を始めました。光エネルギーを使えば、熱や圧力は必要なく、様々な物質を変換できる光触媒とはなんと面白い材料なんだ!と意気揚々とこの分野にやってきました。しかし、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第214号(2021.12.10)
「配位子の酸化還元を利用した小分子活性化触媒」
この度はこのような寄稿の機会を与えていただき感謝致します。私の簡単な自己紹介と最近行っている金属錯体触媒の配位子還元を利用した物質変換反応について紹介させていただきたいと思います。私は修士・博士課程を京都大学・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第213号(2021.12.03)
「水中で機能する水素酵素のモデル錯体」
水素酵素(ヒドロゲナーゼ)は、水中、温和な条件で水素酸化と水素発生を触媒する。活性中心の金属イオンの種類によって三種類のヒドロゲナーゼに区別され、[NiFe]ヒドロゲナーゼ、[FeFe]ヒドロゲナーゼ、[Fe]ヒドロゲナーゼと呼ばれる・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第212号(2021.11.26)
「微力でも力を合わせて」
近代戦におけるランチェスターの法則、"数は力"や"戦いは数だよ"という語録を紐解くまでもなく、手駒の数が多いほうが有利になる局面が世の中にはあります。この話を触媒反応になぞらえた場合、触媒濃度を増加させることによって・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第211号(2021.11.19)
「愛着のある装置-表面と構造」
本稿の執筆の機会を頂き,どうもありがとうございます.自身の背景と研究に関してご紹介させて頂きたいと思います.学生時代から,固体光触媒材料に関連した課題に取り組ませて頂きました.北海道大学大谷研究室に在籍させて頂き・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第210号(2021.11.12)
「人工光合成研究を振り返って」
本稿は、読者の方々に必ずしも知られていない、とくに我が国における人工光合成の研究を振り返り、今後の研究の展開に活用されることを願って記すものである。20世紀初頭に、化石燃料である当時の石炭の代わりに太陽光の利用を提唱したのは・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第209号(2021.11.05)
「電解触媒と助触媒」
ソーラー水素の製造方法は色々と考案されていますが、単純な効率で言えば太陽電池に水電解触媒をつけた電極をつなげるのが今のところ一番と思われます。電解触媒はバルクサイズで作っても結構よい活性が出るので、水熱合成のような・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第208号(2021.10.29)
「夏休み自由研究」
夏休みも終盤に差し掛かる頃、ある中学2年生の女子生徒から、夏休み自由研究のレポートが送られてきました。彼女は、環境問題に興味を持っており、大学のホームーページに掲載されている、私どもの研究グループの「高活性酸素発生触媒」・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第207号(2021.10.22)
「色素構造修飾による有機・無機複合材料作成と光触媒」
有機材料は、炭素を主要元素とし水素、炭素、窒素、および酸素原子などで構成される物質の総称である。有機材料は分子レベルからの設計が可能で、分子構造や電子状態といった化学的な視点からエネルギー準位や発色団を制御可能である。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第206号(2021.10.15)
「キノンを使いこなせるか」
光合成や呼吸など、生物の「エネルギー変換」について調べてみると、あちこちで「キノン」が活用されていることに気づきます。もう少し正確に言えば、酸化型の「キノン」と還元型の「キノール」が相互変換しながら働いています。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第205号(2021.10.08)
「光化学系IIによる水分解・酸素発生機構研究の歩み」
この度はこのような執筆の機会を頂けましたことを誠に感謝申し上げます。ここでは私が現在取り組んでいる研究内容についてその背景を交えつつご紹介させていただければと思います。光合成における水分解・酸素発生反応は・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第204号(2021.10.01)
「より良い光増感剤を求めて」
2009年に筑波大学に着任して以来、小島隆彦教授の研究室で、遷移金属錯体触媒を用いる光触媒反応に関する研究に携わらせていただいている。学生には、新規性や独自性の高い錯体触媒を目指して、手間のかかる合成を頑張って・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第203号(2021.09.24)
「たくさんの分野の間に」
私は結晶構造に基づいた理論化学的な手法を用いて、光化学系の光捕集機構および電子移動機構を研究しています。理論の研究室ですから、タンパク質の合成もしなければスペクトルの測定もせず、キーボードを打つことによって実験系の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第202号(2021.09.17)
「理論と実験の協奏」
筆者は東京大学石北研究室にて、レチナールシッフ塩基を色素とする光受容タンパク質: ロドプシンの理論研究を行っています。石北研究室に所属して最初に目指したのが、「アニオン透過型ロドプシン: GtACR1の長波長化変異体を創出する」こと・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第201号(2021.09.10)
「金属-配位高分子複合触媒」
筆者は主に、配位高分子(CP)または金属-有機構造体(MOF)と呼ばれる物質を研究対象としてきた。配位高分子は、中心金属と架橋配位子が自己集積して形成される細孔性の錯体化合物であり、近年では、ガス吸蔵、分離、ドラッグデリバリー・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第200号(2021.09.03)
「二酸化炭素からのポリマー合成」
二酸化炭素の化学的固定化に有効な固体触媒の開発に関する研究を、東北大に着任以来かれこれ10年くらい行ってきた。一方、植物は二酸化炭素と水から光エネルギーを使って糖類を合成する光合成を行っている。二酸化炭素の固定化・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第199号(2021.08.27)
「炭素循環と窒素循環」
「先生、質量分析装置で測定したら、目的錯体よりも44 (m/z)分子量が大きいピークが出たんですけど、これってどういうことでしょうか?」という学生さんの質問で、私のCO2の研究が始まったように思います。ルテニウムの・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第198号(2021.08.20)
「半導体光電極の固液界面」
この度は本寄稿への執筆の機会を賜り、感謝申し上げます。私の簡単な自己紹介と研究内容について紹介させていただきます。私は学部・修士・博士課程まで、長崎大学工学部の相樂隆正先生の研究室にて「分光電気化学」および「電気分析化学」・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第197号(2021.08.13)
「From Nitrogen Fixation to Water Splitting」
In the nineteenth century, Chile, Bolivian and Peruvian got involved in a war (the Saltpeter War) which led to tens of thousands of casualties for something hard to believe nowadays, the Guano. This mineral is・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第196号(2021.08.06)
「不適者で天然を超える」
天然の光合成は非常によくできた生物システムだ。私が初めて光合成を知ったとき、一番驚いたのは、この一見“洗練されたシステム”の成立が約30億年も前であり、中核的な機能分子や作動原理が変わっていないということだ。それだけを聞くと、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第195号(2021.07.30)
「光触媒と酵素を組み合わせた光駆動型生体触媒反応」
2014年から3年間所属した九州大学石原達己先生の研究室で、無機光触媒と酵素を組み合わせた光駆動型水素生産に取り組んだ。図は本研究に関連した最初の成果で、無機光触媒の反応に、酵素の水素生成反応を組み合わせた、非生物−生体・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第194号(2021.07.23)
「光吸収材料としてのSWCNTs」
炭素材料と聞くと真っ黒い物質を思い浮かべる読者も多いと思われるが、SWCNTのバンド構造は、それぞれのヘリシティーで異なるため、ヘリシティー分離したSWCNTはカラフルな材料である。半導体性SWCNTs は、光電変換材料として・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第193号(2021.07.16)
「選択的ガス吸着を指向した新規多孔性材料の開発」
多孔性材料としてガス類の高効率な吸着物質として高い注目を集めている金属有機構造体、いわゆるMetal-organic Framework (MOF)に着目し、選択的なガス貯蔵を指向した新規MOFの開発を行っております。MOFはスポンジのような性質を・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第192号(2021.07.09)
「福島復興の鍵を握る再エネ」
日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言し,先ごろ改正地球温暖化対策推進法が成立した。これを受け,経済産業省は2030年度の電源構成について,再エネの構成比率を拡大し,逆に火力を縮小するよう検討している。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第191号(2021.07.02)
「光合成アンテナ研究から農業へ」
私が生まれた年のノーベル化学賞は光合成器官の三次元構造の決定に関するものであり、光合成には少なからず縁があるように感じています。子どもの頃から光合成ってどんなものなのだろうと不思議に思っていましたが、縁があって学生から・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第190号(2021.06.25)
「金属錯体による窒素固定触媒の開発」
この度はこのような寄稿の機会を頂き、誠に感謝申し上げます。私自身の研究は人工光合成そのものとはやや離れておりますが、自己紹介もかねて研究背景から執筆させていただければと思います。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第189号(2021.06.18)
「人,研究,家族に感謝!」
日本大学理工学部の須川と申します。この記事の執筆にあたり、何を書きたいか自分に問いかけたところ、「謝意」に終始することにしました。お付き合いください。私は学部・修士時代は上智大学にて清水都夫先生、遠藤明先生のご指導の下・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第188号(2021.06.11)
「ナノカーボン光電極」
光触媒とは無縁のナノカーボン研究者が“ある偶然”からはじめた研究を紹介します。カーボンナノチューブはその名の通り筒状の構造で、この筒の部分にさまざまな分子を取り込むことができます。フラーレンC60を取り込んだものが有名で・・・リード文つづき

CanAppleニュース 号外(2021.06.09)
「役員異動・新規事業」
平素より CanApple の活動にご理解、ご協力賜り誠に有難うございます。本年6月よりCanApple役員の一部が異動となりましたのでお知らせいたします。 詳細はウエブページをご覧ください。 あわせて、新たに実験講座やワークショプの開催、ならびにHPでの論文紹介なども行っていきますので、ご期待ください。

CanAppleニュース 第187号(2021.06.04)
「理論と実験、溝と橋渡し」
石北研に来て、本当に凄いことだと思ったのは、今まで、実験データのみでは、憶測ぐらいにしか言えなかったことが、タンパク質の構造を元に計算し、検証できることである。実験データを分子軌道やエネルギー準位から説明できたとき・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第186号(2021.05.28)
「天然色素分子から代謝過程、半人工的色素分子開発まで」
昨年からのCOVID-19の猛威により、未だ収束の兆しは見られず、未曾有の危機の中、これまでの日常生活は一変し、これまでの常識は通用せず、常に変化と対応が求められる時代へと激動しいる昨今、皆様におかれましても、研究の進め方も・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第185号(2021.05.21)
「ソフトマテリアルで人工光合成システムを組み立てる」
天然の光合成では、チラコイド膜に精密に配置されたアンテナタンパク質や電子伝達系,酸素発生中心が協働することで、効率的な光-化学エネルギー変換が達成されています。これらの構成要素の精密配置を実現するためには・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第184号(2021.05.12)
「酸素架橋錯体をあやつる」
研究を始めた年の暮れ、溶液中にきらりと輝く結晶を発見し、すぐに電気化学測定を行いました。そろそろ仕事納めかと考えていた矢先、仕事は納まるどころか急増しました。早々にX線構造解析を行い、これが自分と「酸素がルテニウム間を・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第183号(2021.05.07)
「オペランド全元素観測 -水分解触媒の機能解明-」
この度は寄稿の機会を与えてくださり、心より感謝申し上げます。私自身は人工光合成からやや離れてしまったのですが、今後はまた少しずつ関わっていければと考えています。自己紹介とともに、最近の研究について簡単にご紹介いたします。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第182号(2021.04.30)
「窒素循環における物質変換」
子供の頃に春になると、レンゲの咲いた水のない田んぼを見かけました。今になって根深い科学の妙を理解しました。アミノ酸は5種類の元素から構成され、窒素もその一つで、生物にとって窒素は不可欠な元素の一つです。天然では・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第181号(2021.04.23)
「「人工光合成」と出会って」
大阪府立大学の深津亜里紗と申します。最近は人工光合成の研究とはご無沙汰気味で大変心苦しいのですが、学生時代のご縁で今回執筆の機会をいただきました。この度はこのような機会をいただき誠に感謝申し上げます。折角の機会ですので・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第180号(2021.04.16)
「配位子は名バイプレイヤー」
錯体化学では、配位子で錯体の構造や酸化還元電位、反応性を制御することが常道であり、醍醐味でもあります。人工光合成研究において重要な水の酸化反応や二酸化炭素還元反応を触媒する金属錯体では、反応の主役は中心金属ですが・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第179号(2021.04.09)
「マイクロ波分光と光触媒」
粉末光触媒のキャリアダイナミクス測定法として、可視-赤外過渡吸収分光(TAS)法や時間分解マイクロ波伝導度(TRMC)法といった非接触型の方法が非常に有効である。TASではホールやトラップ・フリー電子に帰属される吸収を・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第178号(2021.04.02)
「光−化学エネルギー変換の理論的研究」
分子は光のエネルギーを化学的なエネルギーに変換することができる。特に、光−化学エネルギー変換において物質変換が関わる場合には、酸化還元反応が中心的な役割を担う場合が多い。荷電粒子である電子は、活性部位の電子状態や・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第177号(2021.03.26)
「反応速度、活性、効率」
最近、水分解用粉末光触媒の活性評価法の標準化や、効率の計測・認定機関設立の必要性を説く展望記事を執筆する機会があった[1]。光触媒に好都合な前処理・反応条件での活性評価が世界中で行われていることを考えると、気の遠くなるような・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第176号(2021.03.19)
「光触媒と助触媒の密着性の向上にむけて」
この度は本寄稿への執筆という大変光栄な機会をいただき, 感謝申し上げます。僭越ながら, 私の簡単な自己紹介と現在行っている研究内容について紹介させていただきます。私は学部時代, 東京理科大学・理工学部・工業化学科・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第175号(2021.03.12)
「触媒反応場を組み立てる」
ガンダムなどアニメの影響で、高校あたりからエネルギーに関心を持ち始め、大学では、「究極のエネルギー源」の太陽を人工的に創る核融合の魅力に取りつかれましたが、所属する学科が、その道とは違う化学系でした。4年生の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第174号(2021.03.05)
「自然系における水分解酸素発生機構」
自然界の光合成では、太陽光を使って、水と二酸化炭素を酸素と炭水化物に変換している。本反応は光を必要とする明反応と光を必要としない暗反応で構成されている。前者は葉緑体のチラコイド膜上で行われ、後者は葉緑体の中の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第173号(2021.02.26)
「分子の適材適所」
新型コロナ禍に突入して一年、現在は感染拡大防止に細心の注意を払いながら研究を進めています。学生時代から慣れ親しんだ「長時間研究室に入り浸る」生活スタイルから、研究室では効率的に実験を進め、解析や論文執筆は自宅で・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第172号(2021.02.19)
「水分解光触媒の助触媒」
地球上に、ほぼ無限に存在する太陽光と水から、水素を作ることができたら、エネルギー・環境問題は解決されるのではないか。このような夢の材料が水分解光触媒である。水分解光触媒では多くの場合、光を吸収する役割を持つ・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第171号(2021.02.12)
「多電子を動かす分子設計」
水の酸化反応は、一度に4つの電子を移動させる必要があることから、金属錯体を用いた触媒開発では多電子移動のための戦略が重要となる。本稿では、多電子移動の効率化を志向した分子設計について自身の研究を紹介する。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第170号(2021.02.05)
「テーマと人の出会いに感謝」
大阪大学正岡研究室の嵯峨裕と申します。私は、人工光合成をご専門とされる先生方とは少し異なったバックグラウンドで研究を行って参りました。学部・修士課程時代は柴ア正勝先生(東大薬、現在微化研)、金井求先生(東大薬)のご指導の下・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第169号(2021.01.29)
「光触媒によるH2O分解反応の活性向上への取り組み」
私が光触媒によるH2O分解反応の研究に初めて携わったのは1980年代前半であった。当時、この反応に見かけの量子収率(AQY)が数十%で作用する光触媒の開発は夢であった。それから20年後、NiO/La-NaTaO3光触媒が56%のAQYで・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第168号(2021.01.22)
「半導体光触媒を物理する」
半導体光触媒は、ご存知のように人工光合成の研究に広く利用されていますが、その作用機序は、まず光触媒がバンドギャップ以上のエネルギーの光を吸収します。そして、その光が光触媒内部に電子正孔対を作り出し、その後電子と・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第167号(2021.01.15)
「光触媒上でのプロトン移動観測への挑戦」
光触媒を用いた水分解では、水分子から光触媒粒子表面の活性部位へのプロトンの移動の過程が重要である。実際に、著者らの研究グループは、光触媒表面を、ホスホン基で修飾し、プロトンの伝達を円滑にする方法により・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第166号(2021.01.08)
「ペリレン有機半導体開発譚」
ペリレン類は有機半導体開発の黎明期から注目されてきた最もシンプルで実力のある機能性分子であり、Tangや平本等の有機薄膜太陽電池の先駆的開発研究でアクセプタ材料として活用されたことで知られている・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第165号(2021.01.04)
「外部刺激に応答する分子触媒」
「触媒反応」。化学、特に人工光合成に関わる研究に携わると、反応系の触媒回転数や頻度を上げることを主たる目標とするのが常です。最適な基質、溶媒、光の波長、温度、犠牲剤、・・・。しかしながら私たちが目標としている天然の光合成は・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第164号(2020.12.25)
「光エネルギーと医療」
はじめに、人工光合成の素人が本稿を書いていることにご容赦願い、この機会を頂いたことに感謝申し上げたい。筆者は、学生時代に人工光合成の研究に入門したが、その後、光化学と医療に関するテーマに替り、20年以上経過した。人工光合成や・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第163号(2020.12.18)
「光触媒の「内側」と「外側」」
この度は寄稿の機会を頂き、大変光栄に存じます。簡単な自己紹介とともに、最近挑戦している内容についてご紹介します。 私は堂免一成先生の研究室で修士〜博士課程学生としてお世話になりました。しかしその期間、堂免研に所属しながら・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第162号(2020.12.11)
「Nano-Doors as Molecular Machine」
人工光合成系において光エネルギーにより蓄積された化学エネルギーは燃料電池を介して電気エネルギーへ変換することができる。これに対し生体に存在するATP合成酵素は化学エネルギーの一部を分子モーターの回転運動へ変換し・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第161号(2020.12.04)
「金属錯体触媒による低過電圧水素生成反応」
水からの水素生成(2H+2e→H2)は、中学校の理科の授業でも学ぶ基本的な反応である。著者は、この反応を駆動する金属錯体の触媒作用に興味を持ち研究を行ってきた。非常に奥が深く、研究を進める中で依然興味深い現象に遭遇する・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第160号(2020.11.27)
「合金電極触媒の可能性」
CO2の電解還元は、再生可能エネルギー由来の電力よってCO2を資源化する方法として注目されている。固体の金属を電極触媒に用いた場合、活性金属と他の金属との合金化は電極触媒活性を向上させる手法として広く用いられる。このとき・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第159号(2020.11.20)
「基幹化学品を合成する触媒プロセスの実用化」
CO2とソーラー水素からのオレフィン合成
ソーラー水素が安全・安価に分離できた場合、その水素とCO2を原料としたオレフィン合成について紹介する。CO2とソーラー水素から・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第158号(2020.11.13)
「発生する水素と酸素の安全・高効率な分離方法」
水素/酸素の混合ガスからの水素の安全分離
可視光水分解モジュールの最終的な開発目標は、大規模展開を目指した安価なコストが要求されるため、粉末の光触媒を塗布・固定化した光触媒シートから・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第157号(2020.11.06)
「太陽光を使って水から水素を製造する光触媒開発」
太陽光照射下での半導体光触媒での直接水分解
1969年の酸化チタンを用いた光電気化学的水分解(いわゆるホンダ・フジシマ効果)の報告以来、光電極および微粒子光触媒による水分解に関する研究が・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第156号(2020.10.30)
「光触媒によるソーラー水素の経済性」
太陽光応答光触媒による水の全分解によるソーラー水素の製造コスト目標
2012年に経済産業省の直轄事業として開始され、現在NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization:新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業として継続実施中の ・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第155号(2020.10.23)
「植物の光合成に匹敵する量子収率を人工的に実現」
植物の光合成をできるだけ簡易な仕組みで代替しようというのが人工光合成であるが、半導体光触媒を用いた水の光分解はその一つの手段である。水の水素と酸素への分解反応の困難さの要因は、可逆的な多電子移動を伴うことにある。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第154号(2020.10.16)
「光化学反応場と電子顕微鏡化学」
タンパク質が行っている光合成系分子空間制御からエッセンスを学んだ人工光合成研究で2013年に学位を取得しました。その後、物理化学・光化学とは異なる分野で5回の海外留学や勤務をしており、化学研究の幅広さとそれぞれの奥深さを・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第153号(2020.10.09)
「その気泡に魅せられて」
今回は、九州大学酒井研在籍時より研究してきた、錯体触媒を用いた溶液系での光酸素発生に焦点を当てたい。 人工系での光を用いた酸素発生には、酸素発生触媒、光増感剤、犠牲酸化試薬を利用する。光増感剤には・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第152号(2020.10.02)
「人工的な光合成とは何か?―学生への答えを探して―」
学生時代に塾講師のアルバイトをしていた時、中学生の生徒さんに「大学で何を研究してるの?」と聞かれたことがあります。理科で光合成の勉強をしていたので「人工的に光合成をする研究をしてるよ」と答えてみたところ・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第151号(2020.09.25)
「光触媒反応と熱エネルギー」
自由エネルギー変化が正となる光触媒反応系では,反応に利用された光のエネルギーが化学エネルギーとして蓄積される.一方で,反応に利用されなかった光エネルギーは,主に熱として放出されることになる.従って,量子効率の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第150号(2020.09.18)
「古い材料でアイデア勝負」
材料科学者であればプルシアンブルー(PB)という材料を一度は聞いたことがあると思う。高校の教科書(図説)にも、その鮮やかな青色は記載されている。もともと、旧ドイツ(プロシア帝国)で発見された人工の青色顔料であり・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第149号(2020.09.11)
「歪んだポルフィリンの魅力」
ポルフィリンは、18π共役系を有する芳香族化合物であり、特徴的な吸収帯や電子移動特性を示すため、光合成や生体内代謝反応に至る重要な反応の構成要素として機能している。これまでに「人工光合成」の実現に向けて、平面性ポルフィリン・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第148号(2020.09.04)
「太陽光で空中窒素を固定する」
人工光合成と聞くと、太陽光エネルギーを用いた水の分解や二酸化炭素の還元を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。しかし、可視光照射下で窒素と水からアンモニアを得る反応もエネルギー蓄積型の反応であり、人工光合成の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 号外(2020.08.28)
「新潟大学自然科学系 助教(女性限定)の公募」
 詳細(PDF)

CanAppleニュース 第147号(2020.08.28)
「COVID-19にもたらされた学術集会のオンライン改革」
COVID-19の猛威により、世界を取り巻く状況は一変してしまった。日常的な研究活動もかつての在り方が難しく、多大な制限を余儀なくされている。特に大規模集会は実質的に開催不可能な状況に置かれている。外国との人の行き来はほぼ・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第146号(2020.08.21)
「光捕集アンテナと揺らぎ」
光捕集アンテナ色素タンパク質複合体は、吸収した光エネルギーを光合成反応中心へと運ぶ役割を担う。光捕集アンテナ内部でのエネルギー移動の速度は数ピコ秒以下で、量子収率はほぼ100%と非常に高速・高効率である。この高速・高効率な・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第145号(2020.08.14)
「水の酸化錯体触媒の研究は今が正念場」
人工光合成では、水素ガス等の有用な還元生成物を生産する際に、水の酸化反応により電子を獲得する必要があります。そのため、水の酸化を効果的に促進する触媒の開発が重要です。金属錯体は、多種中心金属と多様な配位子設計により・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第144号(2020.08.07)
「縦のスペースを利用した デバイスづくり」
樹木は、縦に成長する。これは、近くの樹木より少しでも多くの太陽光を葉で吸収させ、光合成によって炭素を固定化すること、さらには子孫をより多く残す(花粉や種を遠くまで飛ばす)ための工夫であるといえる。限られたスペースを有効・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第143号(2020.07.31)
「『複合』的な系の面白さ」
東北大学の熊谷と申します。ご縁あって学生時代から人工光合成に関わった研究を続けております。本稿執筆の機会を頂きましたので、自身の研究と最近の考え事を紹介させていただきます。私は2015年に学位を取得後、東京工業大学の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第142号(2020.07.24)
「光励起キャリアの正体は?」
我々は、時間分解過渡拡散反射スペクトルのデータセットを基に、ターゲットモデルを設定し、天然光合成系と同様にターゲット解析を適用することで、表面トラップ電子・ホールの特性を導くことを提唱しています。また、光触媒粉末・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第141号(2020.07.17)
「反応環境を整える」
人工的な化学反応は、化学物質を液体に溶解させた「溶液状態」で行われることが多い。中学高校の化学実験では、何らかしらの化学物質を液体に溶解させて、その変化を追う実験が行われているし、化学に疎い読者でも「1グラムの・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第140号(2020.07.10)
「イリジウム錯体の魅力」
イリジウム(Ir)錯体の光化学的な応用と聞くと何を思い浮かべるだろうか? 特に興味は無くても、化学系分野の様々な学術論文に頻繁に登場してくることはお気づきだろう。実際に、発光材料、触媒、光増感剤、バイオイメージング、化学・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第139号(2020.07.03)
「プラズモニック光触媒との出会い」
近畿大学理工学部応用化学科の田中淳皓と申します.このたびは,CanAppleニュースレターに寄稿する機会を頂きまして大変光栄に存じます.ここでは,自己紹介とともに,これまでのAu粒子のプラズモニック光触媒に関する研究の紹介を中心に・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第138号(2020.06.26)
「ゼロエミッション国際共同研究センター」
今年になって私の所属する組織では大きな再編がありました。1月29日には、ノーベル化学賞を前年に受賞した吉野彰博士をセンター長とするゼロエミッション国際共同研究センター(GZR)が発足しました。また、3月末を以て、太陽光発電に・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第137号(2020.06.19)
「まわりの効果」
せっかく機会をいただいたので、辞書では「光触媒」がどのように扱われているのか、手元にある広辞苑(第七版)にて引いてみました。 【光触媒】光の吸収により触媒として働く物質。光を吸収して生成した励起電子などがエネルギー移動や・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第136号(2020.06.12)
「架け橋」
人工光合成がターゲットとする水分解、CO2還元、N2還元などの光触媒反応は、基本的に酸化還元の組み合わせにより成立する。光エネルギーを駆動力として、酸化反応によって得た電子を有用還元反応に供給するための架け橋となる仕掛け・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第135号(2020.06.05)
「長波長光を利用できるレドックス光増感剤」
金属錯体を用いたCO2還元光触媒系では、光吸収により電子移動を駆動するレドックス光増感剤と、それから電子を受け取りCO2を活性化・還元する触媒を組み合わせた系が多く報告されている。光増感剤は、可視光を良く吸収することが・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第134号(2020.05.29)
「光触媒と私」
私はこれまで半導体光触媒を用いる水分解の研究を主に行ってきました。この研究に興味を持ち始めたきっかけは、荒川先生(当時産業技術総合研究所 光反応制御研究センター・センター長)による特別講義でした。講義では先生の研究を通して・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第133号(2020.05.22)
「レーザーで疑似太陽光を作る」
光合成では光アンテナが行う光捕集作用により、太陽光を有効利用している。この作用は超高速かつ高効率であることが知られており、我々はこの機構解明を目指してレーザーを用いた研究を行っている。しかし、本ニュースでも紹介されたように・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第132号(2020.05.15)
「光合成・人工光合成と光導波路分光測定法の接点」
私の名前をご覧頂いた時に、本研究分野の皆さんは『…光導波路分光測定法の…』と思われるのだと思います。ある意味で馬鹿の一つ覚え的なところもあるのですが、私の中では『バルクと異なる、表面・界面の電子情報を提供する。』との・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第131号(2020.05.08)
「温故知新」
1988年のノーベル化学賞は「光合成反応中心の三次元構造の決定」として、ドイツのJohann Deisenhofer、Robert Huber、Hartmut Michelの3名が受賞しました。2011年の梅名・川上らによる光化学系II(photosystem II, PSII)蛋白質・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第130号(2020.05.01)
「電子伝達体を設計する」
本年で9年目となる阿部研究室には,阿部竜教授,坂本良太准教授,鈴木肇助教,私の4名のスタッフが在籍しています. 2019年4月に東正信助教が,同じく2019 年 4月に中田明伸特定助教がそれぞれご栄転され,2019年6月1日より鈴木肇助教が・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第129号(2020.04.24)
「とりあえず、生物に教えを乞おう!」
生命は、原子→分子→タンパク質→細胞→細胞集団→生体→生物圏→地球圏、と様々な階層の上に成り立っている。各階層で高度な制御機構が働き、問題因子は即座に排除される。人間も病原菌が体内に侵入したら体温を上昇させ、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第128号(2020.04.17)
「錯体を焼こう!」
配位子を合成して金属錯体をつくって、美しい結晶構造を眺めながら学生時代を過ごし、錯体の世界に引き込まれた私ですが、最近は合成することよりも、金属錯体を焼いて“蒸し焼き”にする面白さと奥深さを感じています。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第127号(2020.04.10)
「機能統合戦略に基づく金属錯体触媒の開発」
天然に存在するタンパク質においては、物質輸送・物質変換・エネルギー変換といった生命活動の根幹を成す多様な反応が非常に効率よく進行することが知られています。これらの生体系で行われている反応を人工的に再現することができれば・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第126号(2020.04.03)
「ドイツのXFEL施設の紹介」
超短パルスレーザーが一般的な実験装置として大学などの研究施設で利用されておりますが、X線の領域でも発展してきております。この記事では、私が働いているドイツのEuXFELの紹介したいと思います。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第125号(2020.03.27)
「水資源とエネルギーと私」
2030年までに世界中のすべての人が平和と豊かさを享受できることを目指す取り組みとして、SDGs(持続可能な開発目標)の知名度が向上しています。SDGsの17項目は相互に関連しており、課題解決への総合的な取り組みが必要と・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第124号(2020.03.20)
「金属錯体と半導体の融合」
豊田中研の関澤です。私は、金属錯体と半導体を融合させた光触媒・光電極による人工光合成を主軸に研究を行っています。自己紹介を兼ねて、これまでに私が大学と会社で行ってきた金属錯体-半導体複合系を用いた人工光合成研究について・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第123号(2020.03.13)
「光合成反応の本質とは?」
「生命の本質の問題は、その起源と発展の歴史なしには合理的に解くことができない」(A.I.オパーリン)1。今思い出してみると、それは全くの偶然であった。高校3年生になったばかりの4月、日頃新聞なんか読まないのに、ふと目に・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第122号(2020.03.06)
「光合成反応に関連する材料を利用するために」
生物が行う光合成反応の初期段階では、タンパク質とクロロフィルなどの色素分子との複合体が大きな役割を果たしている。このような光合成生物内部ではたらく材料を人工的に利用する研究に関してここでは述べたい。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第121号(2020.02.28)
「アップコンバージョンは人工光合成に貢献できるか」
人工光合成研究の最前線でご活躍の先生に現在の課題を伺うと、(その一つが)長波長光を利用できないことであるという。可視光で安定に駆動する光触媒が開発されているが、利用できる光が可視光の高エネルギー側に限られてしまう。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第120号(2020.02.21)
「2次元、3次元、2.5次元?」
物理量と基本量(長さ、重さ、時間など)の関係性を次元という。例えば、線、平面、立体は長さに対して1次元、2次元、3次元の図形である。エネルギー変換用半導体の研究では、薄膜状の光電極は2次元、微粒子光触媒の懸濁液は・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第119号(2020.02.14)
「使われていない太陽光を使える太陽光に」
太陽光は無限でクリーンなエネルギー源であり、私たちの生活がその光により支えられていることは言うまでもない。太陽光からエネルギーを生み出す人工光合成において、光触媒や太陽電池などを効率よく駆動させるために必要な太陽光は・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第118号(2020.02.07)
「活性金属中心―錯体と金属表面―」
銅の色は何色?と聞かれると、大抵の人は使いこまれた10円玉の茶色を思い浮かべるのではないだろうか?中高時代に化学が好きだった人は、銅二価化合物の青緑系統の色を思い出すかもしれない。実際の単体の銅はピンク色といえる淡い色を・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第117号(2020.01.31)
「人工光合成が脱炭素社会を実現する?!」
再生可能エネルギーの大幅な利活用拡大、この実現には現代社会の変動する消費エネ ルギーに対応可能なエネルギー供給法を実現する必要がある。再生可能エネルギーの中 で最も膨大な太陽光は、変動エネルギー源である。そのため・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第116号(2020.01.24)
「光化学系IIの水分解反応における移動現象論」
私が大学で化学工学の講義を受けたとき、反応や分離プロセスといった単位操作ごとの物質、熱やエネルギーの収支を把握することが大切であったことを記憶しています。そこで、その収支を地球に当てはめると、外部(宇宙空間)から供給さていれる・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第115号(2020.01.17)
「光触媒の形と表面」
鉱物博物館や鉱物図鑑ではサイコロ状の立方体や八面体,六角柱状の鉱物を見ることができる。これら鉱物の表面はツルっとしていてピカピカと光を反射するものが多い。このような鉱物の表面は原子が整然と配列している面(結晶面)が・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第114号(2020.01.10)
「緑の惑星を支える色素・クロロフィル」
「地球は青かった」という言葉は有名だが、ガガーリンは実際には「空は非常に暗か ったが、地球は薄青色だった」と言ったらしい。それはともかく、地球は水と大気に恵 まれたブループラネットであることは紛れもない事実だろう。その一方で・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第113号(2020.01.06)
「光触媒のやる気と学生のやる気」
「水中に懸濁した光触媒に紫外光を照射すると,水素と酸素の泡がぶくぶくと発生する・・・はずだったが,ほとんど出なかった。」これは,2003年4月に私が卒研生として配属された研究室でトレーニング実験に励んでいた際の一コマです。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第112号(2019.12.27)
「人工光合成と超分子化学」
「人工」的に光合成システムを構築しようとするアプローチには、おおまかに2通りあ るように思われる。ひとつは、その機能に着目して、構造はそれほど気にせず、再現し ようとする方法。天然の分子集合体とは一見似ても似つかぬ半導体を・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第111号(2019.12.20)
「協働する光増感剤」
夏の強い日差しを浴びて力強く成長する植物を見ると、天然の光合成は本当に素晴らしいと思う。ましてや、精密に配列された数多くの機能性分子が、自らに与えられた機能(光捕集、電荷分離、電子輸送、酸化還元触媒)をきちんと発揮して、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第110号(2019.12.13)
「光合成からのお告げ?」
光合成ほど、広く一般に知られているのにも関わらず、定義化することの難しいものはないのではないでしょうか?高校の化学の教科書には、光合成は二酸化炭素(CO2)と水から糖類と酸素をつくる、とあります。実際には・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第109号(2019.12.06)
「ポリオキソメタレート分子を用いた光二酸化炭素還元」
私は、ポリオキソメタレートという金属酸化物分子を用いて、水の酸化触媒の開発に携わっています。今回は、酸化ではなく、二酸化炭素の還元にも使えるという研究について紹介します。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第108号(2019.11.29)
「水素ラジカル?!」
新任として着任後早々に「水を分解する触媒を作りなさい」との指令を受けた。No ideaであった。No actionは御法度だろうから、水分解とは?からはじまり最近の研究動向を調べることにした。元々流行りの研究には絶対に手をつけたくない性格・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第107号(2019.11.22)
「研究者の目標と夢」
ごく最近、研究者はテーマや目標をどうやって設定すべきかということをあらためて考える機会を持ちました。というのは、ある大学に最近設立された学部を見学をさせていただいたことがきっかけです。その大学では情報分野で著名な先生を・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第106号(2019.11.15)
「金属と配位子の共同作業」
1つの分子触媒で水を水素と酸素に光分解する。これは、我々のような分子性触媒の研究をしている研究者がもつ夢の1つだと思います。しかし、実際には険しい断崖絶壁が幾つも立ちはだかっていて、登頂ルートさえ分からない前人未踏の頂きの・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第105号(2019.11.08)
「光合成タンパク質一つ一つを見る」
100年ほど前、それまで多くの学者も半信半疑だった原子、分子の実在をはっきりと突きつけたのはアインシュタインのブラウン運動の理論でした。しかし、分子1 つを見る技術を手にするまでには、それからさらに数10年の時間が必要でした。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第104号(2019.11.01)
「光合成細菌」
光合成細菌と共に働いてきて、かれこれ20年近くになります。こんなにも続くとは思ってもいませんでしたが、今となっては光合成細菌博士と急に呼ばれても受け入れる心の準備は出来ています。光合成細菌ってなんぞ?という初見の方から、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第103号(2019.10.25)
「光化学反応中心、光、水、電子伝達の接触界面を如何に増やすか」
天然光合成の光化学反応中心の電荷分離の量子収率は90%以上であるため、光化学反応中心は一つの理想的な人工光合成光ナノ触媒と見なせる。「これら理想光ナノ触媒の効率を最大限に引き出せるデバイスはどの様なものか」という課題を自ら立て、取り組んできた。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第102号(2019.10.18)
「エネルギー利得向上への新設計」
有機半導体を水中や気相中に置いて、光照射すると光触媒作用が得られる。有機半導体の幅広い吸収波長の可変性により、可視光や近赤外光への応答も容易である。汚れの分解,消臭・脱臭,抗菌・殺菌,有害物質の除去などのいわゆる環境浄化型光触媒の形では、高効率に働くことが実証されて、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第101号(2019.10.11)
「なんでもルテニウム?!」
ルテニウムという元素をご存じだろうか。周期表では鉄(Fe)の下にあり、原子番号は44、原子量はおよそ101のいわゆる貴金属に属する元素である。人工光合成の研究は1970年代にはすでに活発に行われていたが、生物が利用しないこの元素は、「人工」光合成の初期の研究から使われてきた。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第100号(2019.10.04)
「似て非なるもの」
私が光合成研究と初めて接点を持ったのは、博士号取得のためにベルリンに行ってからです。学部・修士時代、私は生体分子素子に興味がありました。例えばコンピューターの頭脳(CPU)は非常に多くの発熱を伴いますが、それはリーク電流が生じてしまうからです。そのような背景から、シリコン半導体を超えた・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第99号(2019.09.27)
「金属資源とCO2還元光触媒」
地球環境問題への取り組みは偽善か?これは私が学生の頃、研究室で流行った命題の一つです。我々学生は「地球のため」に日夜研究に没頭している訳ではない!という主張だったのかもしれませんが、実際、恐竜が絶滅する程の地球環境の変動が進んでも地球は困りません。我々自身のために、偶然の産物のような・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第98号(2019.09.20)
「分子触媒開発における温故知新:CO2還元の場合」
分子触媒開発者にとって2017年は色々な発見があり、忘れられない年となりました。例えば、ポルフィリンという有機分子をまとった鉄錯体(下図)を触媒に用いて、二酸化炭素(CO2)をメタンまで光化学的に還元できることがわかりました[1-2]。この40年、研究者達はCO2に2電子を注入することにより一酸化炭素やギ酸・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第97号(2019.09.13)
「光化学系タンパク質を生体部品として応用する」
自然界の光合成の量子収率はほぼ100%であり、その効率の良い光電変換を模倣した人工系システムの開発が盛んに行われています。一方で、光合成の反応中心である光化学系I、II(PSI、PSII)の性能を活かして直接生体部品として用いる研究に注目が集まっています。PSIとPSIIを比べた場合に、比較的頑丈でかつエネルギーの高い・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第96号(2019.09.06)
「光合成を支える酸性脂質」
光合成反応の場であるチラコイド膜は、他の生体膜と同様に脂質二重層を基本構造とし、その中に光化学系複合体などの光合成装置が配置されています。植物の葉緑体とシアノバクテリアのチラコイド膜には膜脂質として、糖脂質であるモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第95号(2019.08.30)
「ポルフィリンを用いたCO2還元反応」
ポルフィリンまたはその類縁体は、生物において多岐にわたって見られ、例えば、植物の葉の緑色の原因となるクロロフィルは、主にポルフィリン類縁体のマグネシウム錯体であり、捕集した太陽光エネルギーを失活させることなく長距離移動させている。また、我々の血液中で赤色の元となっているヘムもポルフィリン鉄錯体を・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第94号(2019.08.23)
「光によるスイッチング」
有機合成の立場から見た光の利用方法に関する最近の動向を以下に紹介します。最近、反応を外部刺激によって制御することを目指した研究が着目されています。温度、圧力、超音波、pH変化、金属の配位、酸化還元、光などを外部刺激とし、これらの刺激に伴う大きな立体的・電子的構造の変化に応じて・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第93号(2019.08.16)
「宇宙での光合成」
太陽系外惑星探査の急速な発展により、宇宙には多くの地球型惑星が存在することが明らかとなってきた。主星からの距離が適切で、惑星表面に液体の水を保持できる「生命居住可能領域」にあると考えられる惑星も、地球以外に数多く存在していることがわかってきている。系外惑星の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第92号(2019.08.09)
「触媒微粒子の構造制御」
我々の身の回りは半導体デバイスで溢れている。勤務先にも、出張先にも、いつでもどこでも必ず連れて行くのが愛用のスマホである。この原稿もパソコンがなければ書くことができない。そして、これらの電子機器の心臓部分を担っているのが半導体デバイスである。これは、p型半導体とn型半導体材料、そして、・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第91号(2019.08.02)
「生化学の教科書における光合成の章」
植物やシアノバクテリア等が行う「光合成電子伝達系とエネルギー変換」は長年、生化学、生物物理学、植物生理学分野で取り扱われてきた研究分野ですが、最近、工学や物理学など、幅広い専門分野の研究者の参画が増え、広い視点で研究が・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第90号(2019.07.26)
「人工光合成ふたたび」
TOTOの徳留です。企業、しかも陽の当たる必要のないトイレを扱う会社の人間が人工光合成?と思う方も多いですよね。実は当たらずも遠からずの世界にいますので、拙文ながら自己紹介を兼ねて現在の研究内容を説明させていただきます。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第89号(2019.07.19)
「太陽光と酸素による化学品生産は実現するか?」
触媒の分野に飛び込んでから約10年,細々とではあるが研究を続けてきた見栄なのか…最近,とある財閥系総合商社のエネルギー部門の方へ自己紹介した際に,「太陽光と酸素だけで化学品を作る研究をしています」と言ってしまい,「そんなことできるんですか?」と驚かれ,・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第88号(2019.07.12)
「励起子の電荷分離の基礎機構と太陽光の効率利用」
人工光合成と呼ばれているものとして、1)太陽電池の起電力を水の電気分解等で化学エネルギーに変換するもの、2)本多-藤嶋効果に端を発する固液界面を利用した光触媒、3)光誘起電荷分離を起こす人工分子会合体等があり、4)藍藻の培養等による天然光合成系の効率的な活用も広い意味での・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第87号(2019.07.05)
「光合成にとって太陽光とレーザー光は同じか? 」
生命が38億年の歳月をかけて育んだ光合成アンテナは,輻射総量は莫大であるが,輻射密度が希薄な太陽光フォトンを上手く受け止め,100%近い効率で有効利用できる自然が創造した英知の宝庫である.光合成初期過程には,フェムト秒からピコ秒という超短時間で生じる電子・分子振動コヒーレンスやエネルギー移動・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第86号(2019.06.28)
「人工光合成のイメージ」
2003年に人工光合成は太陽エネルギーを利用してクリーンな発電、燃料生産、炭素回収に関する多様な新規研究アプローチをひとまとめに示す傘のような概念として定義された。その後、3.11 FUKUSHIMA、そして光化学系II複合体の・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第85号(2019.06.21)
「光化学系II蛋白質の結晶構造に基づく水分解反応機構の理解を目指して」
植物や藻類が行う光合成反応は,動物の食物となる炭水化物と共に,呼吸に必要な酸素ガスを与えてくれる.この酸素ガスの発生は,光化学系II 蛋白質(PSII)による水分解反応に由来している.ちなみに,PSII の本来の役割・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第84号(2019.06.14)
「光合成と酸素」
酸素発生型光合成では、反応の副産物として酸素分子 (O2) が発生する。一方、太陽光は光合成生物にとってしばしば過剰であり、余剰な光エネルギーや電子が細胞内のO2へと渡ると、有害な活性酸素 (Reactive Oxygen Species, ROS) が生じる。・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第83号(2019.06.07)
「人工光合成への期待」
我々の研究室には「炭素循環系観察器」という名の水槽があり、ここでは数種類の植物と小エビ達が共存しています。厳密に言えば、水(H2O)のろ過装置などがあるため完全に自立した系ではありませんが、光を当てると植物は酸素(O2)の泡を・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第82号(2019.05.31)
「機能を持つ小さな粒を「膜」にして...」
最近の「人工光合成」には縁遠いにもかかわらず、本ニュースレターに寄稿させていただく機会を得た。若干の戸惑いは隠せないものの、とてもありがたく思う。 さて、私の「人工光合成」の原体験は、学生の頃、身近に触れた、光合成モデル化合物・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第81号(2019.05.24)
「層状複水酸化物は光触媒として機能するか?」
層状複水酸化物はLayered Double Hydroxideの訳で,「層状」の構造を持つ粘土化合物の一種であり,「複」数の価数の陽イオンを含む「水酸化物」です.一般的には,その頭文字をとってLDHと略されます.LDHの構造は“水酸化物シートを構成する陽イオンの一部を別の価数を持つ陽イオンで置換したシートは正電荷を持つため・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第80号(2019.05.17)
「緑色でないとダメですか?」
光合成反応にとって必須である光エネルギーは、主にクロロフィルと呼ばれる色素によって吸収されます。クロロフィルは植物が緑色を呈する要因の一つですが、すべての光合成生物が緑色をしているわけではありません。色の違いは集光性アンテナと呼ばれるタンパク質に結合した色素の違いによります。もし他の生物が使わない・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第79号(2019.05.10)
「酸化物界面に接合可能な被覆型共役分子」
近年,高度に機能化された有機π共役化合物を無機基板表面に修飾した有機-無機ハイブリットデバイスが達成されています。しかし,通常は共役部位間のπ-π相互作用による凝集を回避するために,希薄条件やマトリックスを用いた低密度な修飾が行われており,物性向上のための高密度な分子接合は困難であります。・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第78号(2019.05.03)
「強い光合成電子伝達チームを編成するには?」
広島生まれなので素直に昨年の広島東洋カープの快進撃がうれしい。以前は弱かったのになぜ勝てるチームに変貌したのか?カープは予算不足でスター選手を集めることが出来ない。評論家が分析するに,ポイントを絞った人材育成が功を奏しているらしい。私が興味をもつ光合成電子伝達も,チームプレーの化学反応である。・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第77号(2019.04.26)
「座標誤差に基づいた酸素発生触媒Mn4CaO5クラスターの結合距離議論」
2011年、放射光施設SPring-8を利用して太陽光エネルギーを吸収して水から酸素を作りだす藻類由来の酸素発生触媒「Mn4CaO5クラスター」の詳細な立体構造が明らかとなり、現在植物・藻類の酸素発生機構の解明、そしてMn4CaO5クラスターの構造を模倣した人工錯体研究のため、・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第76号(2019.04.19)
「光合成セミナー2018」に参加して
7月21日(土)、7月22日(日)の2日間、光合成セミナー 反応中心と色素系の多様性(神戸大学百年記念会館)に参加いたしました(http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/~ohoka/photosyn_seminar/page02.html)。開催の目的は「光合成に関して、物理学、化学、生物学を融合した討論を行う。光合成の進化・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第75号(2019.04.12)
天然は非対称がお好き?
天然の光化学系反応中心複合体は、光合成細菌の光化学系I型反応中心を除き、全てがヘテロダイマー構造のコアタンパク質をもつ「ヘテロダイマー反応中心」です。ヘテロダイマー反応中心はホモダイマー構造のコアタンパク質をもつ「ホモダイマー反応中心」から進化したと考えられています。その歴史は極めて古く、・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第74号(2019.04.05)
光合成研究の周辺
このニュースにわざわざ書くまでもない事であるが、現在、光合成に注目が集まっている。とは言うものの、注目している人々の全てが、光アンテナ中でのクロロフィルの美しい配列や、OECの歪んだ椅子構造に興味を持っているわけではなく、むしろ、環境問題やエネルギー問題の一部として捉えられた・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第73号(2019.03.29)
ブラックシリコンの光機能
光―物質・エネルギー変換の効率向上において、「光子の有効利用」は重要なアプローチの一つであろう。光子と物質の相互作用確率を向上させる手段として、貴金属の局在表面プラズモンの利用が真っ先に思い当る。確かにプラズモンが発揮する、千倍以上の電場増強効果能は魅力的であるし、・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第72号(2019.03.22)
効率の良い光捕集とは
初めて見たときは嘘だと思いました。あまりにも美しすぎるー ここでは妻の話ではありません。光合成光捕集アンテナのX線構造です。自然界にあることが不自然と思えるほど、完璧なまでに人工的な美しさで配列しているように見え、生き物にはここまでできるかと畏怖の念を覚えました。・・ ・リード文つづき

CanAppleニュース 第71号(2019.03.15)
水を酸化する
「光合成は、Zスキームと呼ばれる電子の流れで表されます。水の酸化はその流れの第一段階で、光合成系全体に電子を供給する重要な反応です。」これは、私が大学教員になりたての頃、私の学生が学会で研究発表を行ったときの冒頭の一節である。近年では、人工光合成も社会的に認知され、水の酸化触媒の開発が・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第70号(2019.03.08)
近赤外光を如何に利用するか
再生可能エネルギーシステム、人工光合成の実用化のためには、無尽蔵に存在する、太陽光に多く含まれる可視光・近赤外光領域の低エネルギー光を有効利用することが重要となっている。光触媒や人工光合成の研究においても、可視光応答する材料の開発が広く行われている。しかし、通常利用する光(通常光)を用いた光化学反応では、・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第69号(2019.03.01)
分子性ナノシートの新展開
究極的な厚さが単原子層に達する二次元物質「ナノシート」の主流は結晶性層状化合物を由来とする無機ナノシートであり、これを活物質とするエレクトロニクス・スピントロニクス・フォトニクスがブレイクスルーをもたらすべく精力的に研究されている。一方、有機分子・金属イオンから二次元構造を直接紡ぎ上げる・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第68号(2019.02.22)
人工光合成と太陽電池の協調(1)
パリ協定が発効し、批准国である日本は、2050年以降「CO2排出実質ゼロ」を念頭にした長期低排出発展戦略を2020年までに策定・提出する責務を負っています。京都議定書と異なり、各国ごとのCO2排出削減義務は直接には課されていませんが、その現実的な発展戦略自体の策定自体も決して容易ではありません。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第67号(2019.02.15)
電子移動と分子配向
水と太陽光からエネルギー資源(水素等)を作り出すには、光吸収により電子と正孔を、それぞれ還元触媒と酸化触媒へ供給する必要がある。増感色素を利用した系で考えれば、光励起状態となった色素は還元触媒へ電子を、酸化触媒へ正孔を渡す必要がある。では、この方向性のある電子移動過程をどのように・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第66号(2019.02.08)
光合成の飽和曲線
ハイキングなどで日当たりのよい草原の中を歩いていると、イネ科の草が細長い葉を斜め上方に向けて出しているのをよく見かけます。一方、道がうっそうと茂った森の中に入っていくと、暗い林床には、地面に平行な葉をつけた植物が多く観察されます。明るい環境と暗い環境に育つ植物の、このような葉のつけ方の差は、・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第65号(2019.02.01)
人工光合成のための光と水と気体の経路
高活性の光触媒材料のライブラリや設計指針は、先のニュースレターに紹介されているように、かなり解明されてきている。そこで、実用化のために必要なスケールアップ戦略として、化学工学的な観点から光と物質の供給経路を考慮した反応系を考えてみる。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第64号(2019.01.25)
人工光合成って何ですか?
先日就職活動に励んでいる卒研生数名から、「『人工光合成ってなんですか?』と面接官から聞かれたのですが、どう答えれば一番よいですか?」と質問されました。これは、化学系企業はもちろんのこと、化学とは関係ない他業種の会社の面接でも質問されたようです。「人工光合成」は異分野の方々にとっても目が引かれる言葉なのだと・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第63号(2019.01.18)
電子が先かプロトンが先か:光合成水分解反応のメカニズム
天然光合成の水分解触媒であるMnクラスター(Mn4CaO5)の構造は、少なくとも暗中で安定な状態(S1状態)については、高分解能X線結晶構造解析により、ほぼ明らかとなったものの、実際の水分解・酸素発生反応の機構については、未だ解明には程遠い状況にある。一見、Mnクラスターを4回酸化してホールを溜めておいて・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第62号(2019.01.11)
太陽光フォトン・・・って何?
井上晴夫先生を代表とする新学術領域研究「人工光合成」が多くの実りある成果を上げて平成28年度で終了しました。幸いな事に、沈先生を代表とした、新たな新学術領域研究「革新的物質変換」が採択され,人工光合成研究に関する新たな挑戦が許される事となりました。この新学術領域研究には、2つの大きな柱があります。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第61号(2019.01.04)
「炭酸水」と「二酸化炭素水」の違い
皆様は、日ごろ慣れ親しんでいる「炭酸水」というものが、実は「二酸化炭素水」と呼ぶ方が化学的には適切であることをご存知でしょうか?確かに、「炭酸水」は高圧の二酸化炭素ガスを水に吹き込むことによって作られ、実際、液性は酸性になりますが、理科の授業で習うような典型的な酸である塩酸が示す酸性とは・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第60号(2018.12.28)
山の陰で人工光合成研究
私の所属する島根大学は、その名の通り島根県に設置されており、鳥取県と共に「山陰地方」に分類されています。シンポジウム等で人工光合成研究を重視している事を説明しますと、「島根県は、山の陰で日照時間が少ないのでは・・・」と苦笑コメントをされる事もありますし、地域の高校生からは、・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第59号(2018.12.21)
ナノ材料と人工光合成
光触媒を用いて太陽光を化学エネルギーに変換する試みは、クリーンで持続的なエネルギー供給プロセスとして大きな注目を集めている。半導体ナノ粒子は、有力な光触媒であり、その触媒活性を制御するために様々な半導体ナノ粒子の・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第58号(2018.12.14)
太陽光発電を利用した水素・メタン生産
宮崎県では、快晴日数が全国第2位、日照時間と平均気温が全国第3位とトップクラスであることから「日本のひなた」というキャッチフレーズが付いている。まさに太陽光に恵まれた環境ということで、宮崎大学工学部では、特色ある研究の・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第57号(2018.12.07)
光を使わない生態系
毎日、私たちが目にする光景は、光合成によって支えられている生態系です。一方で、地球上には、光エネルギーから隔離された生態系もあります。それは、今から40年程前のガラパゴス沖の海底調査によって見つかった深海熱水噴出孔(チムニー)に・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第56号(2018.11.30)
珪藻の魅力
現在の地球上にたくさんの生命が存在するのは、世界各地に化石として残っているストロマトライトを形成したシアノバクテリアが、光合成により太古の昔に大気中に多くの酸素を放出し、大気中の酸素濃度が上昇したためであると・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第55号(2018.11.23)
光を利用した有機合成
合成ポリマーの場合、ポリエチレン、ポリプロピレンなど単一のモノマー組成を持つものや、PETやナイロンなど二種類のモノマーの重縮合体が材料として主流です。これに対して自然界では、DNAやたんぱく質など様々な機能を持つ・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第54号(2018.11.16)
「日本光合成学会」
日本光合成学会(The Japanese Society of Photosynthesis Research)は光合成の基礎および応用分野の研究発展を促進し、研究者相互の交流を深めることを目的とする学会です。本会のおもな活動は、毎年5月の年会開催で・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第53号(2018.11.09)
「人工光合成と天然光合成研究の関係性」
地球誕生から現在までの期間を1年間として換算して考えてみると、人類の祖先の出現は大晦日の午後6時30分、産業革命は大晦日の午後11時59分58秒くらいに対応します。この換算では、光合成を行う生物の誕生は3月末ごろに対応します。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第52号(2018.11.02)
「新たなコンセプトの光還元反応を目指して」
二酸化炭素光還元分野の研究に参画し、約7年が過ぎようとしています。丁度年度の変わり目に原稿の執筆を依頼されましたので、初心に帰る意味で少しこれまでの研究を振り返ってみたいと思います。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第51号(2018.10.26)
「化学のBig Questions」
Does chemistry have any big questions left? ― 2006年、Nature誌はこんな問いを投げかけました [1]。物理学の「宇宙はどのように始まったのか?」や生物学の「生命とは何か」のような解決すべき大きな問題があるのか?と。マルセラン・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第50号(2018.10.19)
「酵素固定のためのプラットフォーム」
天然の光合成系では、光エネルギーを利用して、最も安定な化合物の一つである水から電子を引き抜き、酸素を作る。その際取り出された電子はCO2を還元するために利用され、光エネルギー物質である糖の合成に使われる。この反応を行うためには、・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第49号(2018.10.12)
「固液界面の可能性」
人工光合成は「夢の反応」と言われ、世界中で活発に研究されている。私はその中で半導体光触媒材料を電極化した光電極の研究を行ってきた。本稿では自分のバックグラウンドと、私の感じる固液界面の面白さについて簡単に述べさせていただく。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第48号(2018.10.05)
「光捕集作用の効率を上げるには」
光合成初期過程では太陽光のエネルギーを効率よく集める光捕集作用が働いている。これを担う物質はアンテナ色素分子と呼ばれており、カロテノイドはその代表である。ここでは光合成細菌の光捕集作用を例として、その効率について・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第47号(2018.09.28)
「犠牲試薬ってなに?」
分子触媒ネットワークでは、様々な機能性分子を協同作用させることにより、人工光合成を構築しようとしています。気の遠くなりそうな話かもしれませんが、光合成がクロロフィルや光合成系T,Uといった多数のタンパク質群が協同作用する・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第46号(2018.09.21)
「電極上での光合成反応」
「クロロフィルは光合成をする色素」だと理科の時間に聞いた。「あの緑のヤツね。水と二酸化炭素と光で糖ができるらしいが、クロロフィルは何をしているんだろう?」当時は生物の教科書を眺めても全く理解できず、興味も持てず。その仕組みを・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第45号(2018.09.14)
「光化学系超複合体の機能解明」
屋外で光合成反応のエネルギー源となるのは太陽光ですが、光合成生物にとっては、この太陽光が最大のストレス源ともなり得ます(光傷害)。過剰な太陽光が降り注いだ時、あるいは、太陽光を吸収することにより得た励起エネルギーを・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第44号(2018.09.07)
「光化学系Uとβカロテン」
光合成の中核をなす電荷分離を担うのは、葉緑素、クロロフィルである。一方、知名度は落ちるがカロテノイドも代表的な光合成色素である。近年、カロテノイドの欠損により、光化学系II(PSII)複合体に重篤な機能不全が起こる事が・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第43号(2018.08.31)
「カーボンをできるだけ多く使った有機系太陽電池」
有機系太陽電池に用いる材料をどんどんカーボンリッチ化していくとどうなるか.フラーレンやカーボンナノチューブなどのカーボン材料は水にも安定で,水素製造などの人工光合成との接点が見えてくるのではないかと期待しています。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第42号(2018.08.24)
「細胞は小さな電池」
和英辞典で「電池」の項を引くと“battery”の他に“electric cell”という訳語が出てくる。このelectric “cell”というのは、電気の詰まった小さな円筒状の容器というイメージから来るものなのだろうが、生物学で言う(一般的にも?)cellは・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第41号(2018.08.17)
「研究は人との出会い」
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の足立伸一です。先日、さきがけネットワークご担当の京都大学・寺村謙太郎先生から原稿の執筆依頼をいただきました。何を書こうかとかなり悩んだのですが、執筆内容は執筆者にお任せ・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第40号(2018.08.10)
「新しい光捕集系材料の探索と人工光合成への展開」
新学術領域「人工光合成」では、A01班「光捕集機能を有する人工光合成システム」の班員として4年間公募研究を行い、主に2つのテーマについて研究を進めました。一つは「グラフェン/ペプチド複合体を用いた巨大光捕集系の構築」(図1)、・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第39号(2018.08.03)
「水素はどこから発生する?」
半導体粉末を用いた水分解光触媒の研究が始まって約35-40年が経過した。太陽光と光触媒を用いた水からの水素製造は現在でも大きな研究対象である。光触媒の開発において、適切なナノ粒子(助触媒)担持が非常に重要な役割を果たす。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第38号(2018.07.27)
「水の酸化触媒活性を示すポリオキソメタレート」
人工光合成研究において水の酸化反応の効率を上げることは最重要課題の1つです。有機金属錯体、金属、金属酸化物など様々な水の酸化触媒が研究されています。私は、ポリオキソメタレート(Polyoxometalate: POM)と呼ばれる分子性の・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第37号(2018.07.20)
「光合成明反応と暗反応の仲人、NADP+
皆様は、生物無機化学(bioinorganic chemistry)という研究分野があることはご存知でしょうか?一見、奇妙な名前のようにも思えますが、これは生物無機化学の成り立ちと関係しています。有機物は人の手によっては作ることができないと・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第36号(2018.07.13)
「リケジョイベントを通して」
平成28年8月28日、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、女性活躍推進法が成立した。この法律は、働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が十分能力を発揮できる社会を実現するために制定されたもので、女性採用比率の・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第35号(2018.07.06)
「新しい光触媒を見つける」
中学や高校の理科で周期表を習ったことがあると思います。周期表は元素について多くの情報を提供してくれます。光触媒材料を開発する上でも,無くてはならないものです。今までに光触媒として報告されている化合物を構成している元素について・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第34号(2018.06.29)
「生体触媒機能を最大限に利用するには」
人工光合成研究の歴史を見てみると有機色素と生体触媒を組み合わせた研究も長年続けられていることをCanAppleニュースの酵素エンジニアネットワーク紹介時に述べさせていただきました.二酸化炭素をギ酸に還元する反応を触媒する・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第33号(2018.06.22)
「人工光合成過程を実時間で解析する」
人工光合成過程は、光励起により生じる高いエネルギー状態を経由し、多電子が関与する酸化還元過程であることから非常に複雑なものになります。このような過程を解析するためには、高い時間分解能を有し、なおかつ多くの・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第32号(2018.06.15)
「まだまだ進化する半導体光触媒」
人工光合成を指向した水分解半導体光触媒の研究では、1) 太陽光に含まれる可視光を吸収できる半導体の開発、2) 光励起キャリアの効率的移動を可能にする半導体構造・物性の実現、3) 水の酸化還元を効率良く進行する触媒活性サイト・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第31号(2018.06.08)
「炭素の取扱いはバイオで」
人工光合成には、大きく分けて、光エネルギー捕集ユニットと、光エネルギー変換ユニット、化学合成ユニットの3つがある。それぞれのユニットには様々な技術が存在し、その組み合わせで、多様なシステムを構築できる。例えば、・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 号外(2018.06.05)
「井上晴夫先生 Porter Medal受賞」
この度、CanAppleの共同代表である井上晴夫先生(首都大学東京)がPorter Medal 賞を受賞されました。Porter Medal賞は George Porter先生(1967年ノーベル賞)を記念して創設された国際賞で、光化学の分野で特に顕著な業績をあげられた研究者に2年に一度贈呈される大変名誉な賞です。今回の受賞を皆様にお知らせすると共に、この場をお借りして、井上晴夫先生に心よりお祝い申し上げます。 Porter Medal賞 web site: http://www.portermedal.com/index.html

CanAppleニュース 第30号(2018.06.01)
「溶媒和の速度に依存しない超高速の電荷分離反応」
光誘起電荷分離(CS)反応は、光合成の初期過程のひとつでもあり、光エネルギー変換には欠かせない化学プロセスである。その反応速度がどのような要因によって決定するのか解明するため、昔から多くの研究がなされている。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第29号(2018.05.25)
「水を電子源とする二酸化炭素の光還元とは?」
最近,水を電子源として二酸化炭素から有用な化学品(例えば,メタノールやメタン)などに変換することが可能となったと報告する論文が増えている.そこで,再現性を確かめてみると,まったく反応が進行しないか,もしくは多量の水素と・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第28号(2018.05.18)
「人工光合成とメタン生産」
人工光合成で燃料物質を生産するには、二種類の反応を考える必要があります。ひとつは光エネルギーを使って水を分解し、電子を取り出す反応です。もうひとつは得られた電子を物質生産に利用する反応です。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第27号(2018.05.11)
「光触媒上の反応する場所を造り分ける」
私は某大学で、ビタミンB12人工酵素(國武豊喜先生が発見したことで有名な人工二分子膜誘導体と私が開発した疎水性ビタミンB12によって構成されています。)の研究で学位を取り、すぐに出身研究室で大学教員となりました.その際・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第26号(2018.05.04)
「人工光合成の補助電池としてのロドプシン」
天然の光合成では、光化学系TとUの連携により、水を電子源として、還元力となるNADPHを合成するというZスキームが完成しています。さらに、その際にプロトン濃度勾配を形成し、生体エネルギー通貨とも呼ばれるATPを合成しています。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第25号(2018.04.27)
「みそ汁の海藻と海中の光」
採れたばかりのワカメは黒っぽい褐色に見えるが、味噌汁を作ろうとワカメを熱湯に入れると、急に鮮やかな緑色になる。これは、光合成アンテナというタンパク質に結合していたフコキサンチンが、タンパク質から解離することによる。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第24号(2018.04.20)
「結論ありき、にならない」
「photosystem II (PSII)の水分解触媒部位の構造は、2011年に初めてMn4CaO5と同定されるに至りました。Mn4CaO5の形状は「歪んだ椅子」にたとえられます。この形状を見れば、3つのMn原子だけでなく、(酸素発生に必須である)Caにも・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第23号(2018.04.13)
「光合成と窒素固定の両立形式の多様さを見る細胞個別の分光学」
「なぜ多くの動物は体内で光合成をしないのか」と、ある学生から質問されたことがあります。人間を含む多くの動物は他の生物が作った栄養を奪うことに磨きをかけてきました。人間には奪うだけではなく、持続可能なエネルギーを作り出す能力が・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第22号(2018.04.06)
「百聞は一見にしかず!?」
概要:近年の構造解析技術の急速な進展によって、実際に反応が行われる場であるタンパク質複合体の超分子構造が、色素や酸化還元コファクターの精密な配置まで見えるようになっています。一方、生体内においては、いわゆる・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第21号(2018.03.30)
「人工光合成研究について思うこと」
先の人工光合成に関する新学術領域研究(AnApple)に4年間お世話になり、おかげさまで、私たちが行ってきたCO2の光還元や水素発生に関する研究もようやく面白くなりつつある。私はこれまで金属錯体化学を主たる専門分野として・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第20号(2018.03.23)
「光触媒を薄くしてみると」
水分解光触媒の反応モデルとして、図1に示すようなポンチ絵を良く目にする。光励起によって生成した電子と正孔が、それぞれ水を還元、酸化して水素と酸素を発生するモデルである。これだけを見ると、この反応は非常に簡単に見えるが、・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第19号(2018.03.16)
「太陽光を使った水素製造の世界記録への挑戦」
世界記録という言葉にはインパクトがある。スポーツ好きな私は陸上競技やスケートなどで世界記録が出るとワクワクする。スポーツに興味がない方でもウサインボルトが何をやってのけたかを知らない人はあまりいないはずだし、何か鼓舞される・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第18号(2018.03.09)
「光合成ネットワークより」
光合成ネットワークから二つ目のニュースレターです。今回は、「光合成生物の多様性」について簡単に紹介します。光合成生物と言えば多くの人が青々とした植物を思い浮かべると思います。光エネルギーを還元力へ変換する光合成初期過程に・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第17号(2018.03.02)
「人工光合成と化学研究」
もちろん大学や研究機関における研究は、そのPI (Principal Investigator) が自由闊達に進めるべきである。奥深い基礎研究でも、実用に結びつく応用研究でも、そのPIが最大の力を発揮できる形態で行われるべきだと考える。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第16号(2018.02.23)
「加速器を使ったX 線分子動画撮影について」
光化学反応における高速な構造変化を可視化するため、現在、様々な実験的アプローチによる試みが行われています。その中で今回は、近年急速に発達してきた、放射光X線やX線自由電子レーザー(XFEL)を用いた、X線分子動画撮影技術について・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第15号(2018.02.16)
「半導体単結晶の進展」
名古屋工業大学の加藤正史と申します。私はもともと電子デバイス用半導体の研究をしていたのですが、AnAppleの公募班員として参画させていただいて、人工光合成の分野を勉強させていただきました。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第14号(2018.02.09)
「ニュースレターネットワークの紹介」
CanAppleニュース第6号での「光合成で発生する酸素は何から作られるか? 水、それとも、二酸化炭素?」という質問を覚えているでしょうか? 多くの人は、「二酸化炭素」、あるいは「どちらとも言えない」と答えるのではないでしょうか。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第13号(2018.02.02)
「分子触媒ネットワークの紹介」
人工光合成研究において、水分解もしくはCO2を還元するための主役を演じるのが光触媒である。光触媒反応系を大きく区分すると、光触媒として半導体を用いた不均一系、金属錯体等を用いる、もしくは一部酵素を活用する均一系になるだろう。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第12号(2018.01.26)
「光化学系II(PSII)のモノマーとダイマーにおける光合成初期過程の比較」
時間分解分光法による光化学系II (PSII)蛋白質複合体のモノマーとダイマーの比較について簡単に報告する。過渡吸収スペクトルの時間変化を観測しても、モノマーとダイマーの差はまったく見られない。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第11号(2018.01.19)
「反応機構から水の酸化触媒を組み立てる」
人工光合成とは、
 @太陽光をエネルギー源とする
 A水を原料とする
 B上り坂反応で有用生成物を得る
の三つの条件を満たす反応系と定義されています。・・・ リード文つづき

CanAppleニュース 第10号(2018.01.12)
「火の無い所に煙が・・・?」
「火の無いところに煙は立たぬ」という諺の本来の意味は,「まったく根拠がなければうわさは立たない。うわさが立つからには,なんらかの根拠があるはずだということ。」らしいですが,人工光合成とは,端的に言うと「火のないところに煙を立てる」技術開発のことではないでしょうか・・・?・・・

CanAppleニュース 第9号(2018.01.05)
「太陽電池ネットワークの紹介」
人工光合成の研究を主体としたCanAppleの中で「太陽電池ネットワーク」が発足することになった。井上先生からこのネットワークの代表就任の打診があった際に、少し戸惑いながらも謹んで受けさせていただいた。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第8号(2017.12.29)
「粉末系光触媒の謎と可能性」
水に混ぜて太陽光に当てると水素が発生する光触媒が注目を集めている。この光触媒の面白さは、粉末が一種の太陽電池として機能するので、安いコストで“水の電気分解”を起こせることにある。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第7号(2017.12.22)
「酵素エンジニアリングネットワーク」
太陽光を利用する再生可能エネルギーシステム、人工光合成の実用化を目指すカーボン・エネルギーコントロール社会協議会(CanApple)が発足し、いよいよ活動が開始されました。この協議会の中での 酵素エンジニアリングネットワークの内容をご紹介いたします。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第6号(2017.12.15)
「光合成ネットワークより」
今回は、光合成ネットワークからの初めてのニュースレターですので、今回は、「光合成」について簡単に紹介させていただきたいと思います。皆さんは、「光合成とはどんな反応ですか?」と尋ねられるとどのように答えますか?・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第5号(2017.12.08)
「CanApple役員一覧」
CanApple の役員をお知らせいたします。 この度、新たにCanAppleのAdvisory Board、監事として次の方々にご就任頂くことになりました 。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第4号(2017.12.01)
「カーボンコントロールと人工光合成」
人類は18 世紀後半の産業革命までは、主に植物の光合成産物である薪を燃やしてエネルギーを得ていた。緑色植物が営む光合成は、光のエネルギーを利用して二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から炭水化物((CH2O)n)を生成してエネルギーを貯める。・・・リード文つづき

CanAppleニュース 第3号(2017.11.24)
「人工光合成とは何か」

CanAppleニュース 第2号(2017.11.17)
「金魚鉢と地球」

CanAppleニュース 第1号(2017.11.10)
「人工光合成の実現を目指す『カーボン・エネルギーコントロール社会協議会(CanApple)』設立のご挨拶 」